最近老けた気がする。

実は年を取ると誰でもパーキンソン病になる可能性があります。多くの研究から10歳年を取るごとに平均10%程度のドーパミンニューロンが死んでいくことがわかっています。大体正常の20%位にドーパミンニューロンが減ってしまうと症状が出ると言われていますから、20歳のときを単純に100%とすると100歳で私たちの殆どがパーキンソン病になる計算になります。実際、私たちが持つ「年寄りらしさ」のイメージを極端にするとパーキンソン病患者さんそっくりになります。万事がスローモーで、物覚えが悪くなり、ちょっと前かがみになって歩き、転びやすく、震えが来たりするのはドーパミンが減少していることと無関係ではありません。そういう意味でパーキンソン病は一部の不幸な人の病気ではありません。私たちが元気で活動的な老後を送るためにも、日頃からの体内の深いところにあるホルモンを刺激し、ドーパミンの放出を促す、エアロタイチが大切です。

エアロビクスと活性酸素

エアロビクス体操のことはみなさんもご存じでしよう。やっている人もいるかもしれません。リズミカルな音楽に合わせて、たくさんの酸素を取り入れながら体を動かし、健康と体カの維持・増進を図ろうとするわけです。エアロビクス体操をしないまでも、私達はもちろん酸素なしには生きていけませんが、私達のこの酸素を利用した好気性代謝は、酸素を利用しない嫌気性代謝に比べて非常に効率の良いものなのです。だからこそ私達は、食物摂取のような生命維持に直接必要でないエアロビクス体操などをする生活の余裕ができたとも言えます。しかし、この惑星上に生命が誕生した最初から生物は酸素を利用していたのではありません。

この地球に生命が誕生したのは今からざっと40億年前と推定されていて、32億年前の微生物の化石が発見されています。その後、ラン藻類の繁殖に伴って地球が酸素に富んだ大気に覆われたのが20億年前のことだそうです。当時の生物は無酸素状態で進化してきた嫌気性菌ばかりでしたから、彼らにとって酸素の出現は大変な脅威だったと想像されます。酸素は本来生物にとって大変毒性の強いものなのです。しかし彼らの一部は何とか酸素を解毒するメカニズムを獲得し、好気性生物としての進化をすることになりました。ミトコンドリアの細胞内共生もこの頃生じ、嫌気性生物から好気性生物への転換に大きく寄与したと考えられます。こうして好気性生物は今日に至るまで繁栄し、その末端に私達ヒトが誕生したわけです。でも私達はまだ酸素を十分安全に利用することに成功していないようなのです。

細胞内での代謝の過程で毒性の強い酸素、すなわち活性酸素が作られます。またX線などの放射線が細胞に照射された場合にも活性酸素が作られます。細胞内に活性酸素を作らせる化学物質もたくさん知られています。こうして作られた有害な酸素は、前に述べたようにさまざまなメカニズムで解毒されるのですが、その処理能力を超えた分は、細胞の各小器官に傷をつけたり、ひどければ細胞自体を殺してしまいます。最もやっかいなのはDNAに傷をつける場合で、ガンを引き起こしたり、その傷ついた形質を子孫に伝えたりしてしまいます。哺乳類ではDNA修復遺伝子が何種類もあって、傷ついたDNAを一生懸命補修しているのですが、その能力を超えるDNAの傷がいろいろな場合に、しかも頻繁に起こるようで、発ガンの引き金になります。

老化と活性酸素

人が食物を食べ、それをエネルギーに変えて生命を維持する過程で活性酸素という物質が発生します。この活性酸素は非常に攻撃力が強く、悪い細菌を一撃で破壊してくれる一方、細胞の周辺の不飽和脂肪酸(リノール酸など)に取りつき、それを酸化するという悪い面も持っています。 この酸化こそが老化の正体です。さらに活性酸素は細胞の核中のDNA(遺伝子)そのものを傷つけることもわかっています。 皮膚の酸化(老化)がしみやしわであり、脳細胞の酸化(老化)がボケ症状、血管の酸化(老化)が動脈硬化です。