太極拳の起源

不老長寿の伝説の仙人として中国では有名な張三豊が、少林寺で武術を修めた後に武当山にこもって、道教の陰陽五行説の思想や吐納法という呼吸法(調息=長く大きく呼吸し息を長く止める/胎息=無呼吸に似た胎児のような呼吸)や、導引法(現在では気功法)という道教の健身法、経絡学説を中心とする医術などを取り入れて仙人の修行をした後、編み出したものとされている。この事から分かるように、太極拳とは、現在広く普及されている健康体操というよりも、仙人の修行によって心気体を調整してく瞑想太極拳のようなものが本来の姿なのである。

その後太極拳は、武術として注目され発展していった。その代表的なものに、武術家の陳王廷が作った陳家太極拳がある。もとは一族を守るための武術であり、小架式太極拳(※注1)といわれているものである。その陳家太極拳を、実戦無敵といわれた楊露禅という人物が知り、心気体の調整法として北京に持ち帰り広めていった。このときから、本来の道教の思想を武術の理論(拳理)に生かした王宗岳の太極拳論が重視され、道教の思想が生かされた太極拳という名称が用いられることとなった。その後、楊露禅の第3子の楊澄甫が、武術要素だけでなく結核などの治療や健康法という大架式太極拳(※注2)を広く普及させた。

現在でも様々な要素の太極拳が受け継がれており、伝統五派(陳・楊・呉・武・孫)がある。陳式は剛的な武道的特色があり、楊式は非常に柔らかな動きで『綿拳(針を綿でくるんだような拳法)』と呼ばれている。1956年に楊式太極拳を基礎にして、保健・体育活動の教材として24式、1957年には88式が制定された。これは制定太極拳とも呼ばれ、本来の太極拳の精妙な動きに欠けており体操の要素が強くなっている。

※注1 小架式太極拳=緊密でまとまっており、小さく武術として早く動く※注2 大架式太極拳=ゆっくりおおらかにのびのびとして大きく動く

瞑想太極拳の気功術は内丹術として中国古来から不老長寿のための高度な技術として仙人の修行や処世法として伝統的に継承されており、気と呼吸により体外から空気を取り入れ、気により末端の細胞まで酸素、糖や質などの栄養分を運び、

*1 楊家の古式太極拳85式を気功、想念、瞑想法として確立した錬丹術の内丹術(呼吸法によって体内の気と血を巡らせて仙丹を生み出し、道教の思想と共に心身と気と魂を調整して、不老長寿や福祉を目的とした心身と気と魂の調整術)で、仙人などの修行法として、又、華僑賢人などの練胆法としても行われている。