内丹術

中国の仙人達が、体内の気を巡らして、不老長寿の壮健な心身と、何事にも崩れることのない幸福を自己確立するための方法として、内丹という方術を生み出しました。今回はそれについて簡単に解説します。

あの有名なユング(スイスの精神科医・心理学者。)も内丹術に関して「黄金の華の秘密」という解説書を共著で出版したほどで、心理学だけでなく、精神医学にとっても内丹術はポピュラーなものです。ユングはそこで、「われわれは無意識を理解することによって、無意識による支配から解放される。内丹術を修練する人間は、あらゆる外的・内的な錯綜から自分を解放する方法を教えられる。」と述べています。

もともと人体は、遠赤外線という地球上にどこにでもあたりまえにに存在する光という電磁波を、水分をたっぷり含んだ皮膚と、その皮膚下にあるあふれるような水分で反応させて、体内に電気と磁気を生み出すことは科学で明らかになっています。

その電気と磁気というエネルギーの通り道が経絡であり、その中継点が経穴(つぼ)です。

内蔵や脳にある体内の水は電気・磁気をたっぷりと含み水電池の役割を果たして、内臓や脳・神経や筋肉、そして生理や血脈などのあらゆる生命維持活動と幸福を支えているのです。

電気や磁気がスムーズに体中に行き渡る状態を維持することが、不老長寿と幸福の確率に役立つというのが、簡単にいうと内丹術の考え方です。

もともと気功も内丹術が原点であり、体内にある気(電気・磁気)、精(生命活動力)と 神(しん=意※無意識下にある純粋な心のようなものです。)の三つを本来の状態に戻して、いつも一致させて融合して動くようにして、自分自身のその能力を高め、自らを調整したり、その放出する電気や磁気、そしてその集中点から発せられる遠赤外線などを使って他のものに良い影響を与えるということからの始まりです。

少し難しくなりますが、内丹術は「築基」「煉精化気」「煉気化神」「煉神還虚」「還虚合道」の5段階で進んでいきます。

内丹術は、人間の身体と心を先天部分と後天部分にわけて考えます。生まれてから身についた意識(ここでは意を認識していると言うことで意識です。深層にある意が認識されていない場合は単に意と言います。)を後天といい、そこで身についた心と身体の違和部分(本来の純粋な心と違和感のある部分)を先天(生まれる前から持つ純粋な心のようなもの)に和合させて、先天に戻すことを目的としているのです。言うなれば戻っておいでと後天に先天が呼びかけて融合するというイメージです。これは陰陽和合という太極拳の思想にも通じています。
元神(がんしん)と呼ばれる、人間本来の純粋な心を自分で意識下で知ることと、その状態で心身が動くことを経験することが内丹仙術や、武当派の太極拳なのです。
一般的に意識と呼んでいる後天的に身についた意は、欲望や感情、知識や理性、雑念や煩悩によって、無意識下や意識下を問わずに、つねに揺れ動き、後天的なあらゆる条件下において先天からぶれています。内丹では、その本来の根本的な中心的先天部分から、ぶれた結果が生老病死や不安に繋がっていくと考えられているのです。
内丹術とは、簡単に言えば後天的な意を純粋な先天的な心に融和させて、日常生活や攻防などの場面で身体と精神が活動することで、生老病死や不安から開放され、揺れてふれても、いつでもその先天的な心の中で輝くしく人生を楽しむための自分自身を確立する一つの手段です。
武当派の太極拳は、太極拳の修練の中で、先天的な意での心身が動く経験を多く積むことで、日常生活や攻防などの場面でもその心身の動きを活かすことが出来るという考え方にたっています。

太極拳における内丹術では、逆腹式呼吸による吐納法(呼吸法と気功・站椿を組み合わせたもの)の呼気と吸気・漏気などの呼吸法を使用した逆腹式呼吸という武術呼吸による、細胞活性化とデトックス技術も内包されています。